Windowsアプリの開発には複数の技術選択肢があり、それぞれの特徴や適用範囲があります。ここでは主な種類と、現行のトレンドを含めた選択肢について解説します。
1. Windows Forms
- 概要: 1990年代後半から登場し、長い歴史を持つデスクトップアプリケーション開発技術です。簡単にGUIアプリを構築でき、イベント駆動型のプログラミングを採用しています。
- 特徴:
- レガシーな企業アプリケーション向けに根強く使われています。
- 開発が比較的簡単で、UIをドラッグアンドドロップで設計できます。
- 制限のあるUI設計や近代的なデザインへの対応は難しいケースがあります。
- 現状: 近年では新規開発よりも既存アプリケーションのメンテナンスや改修に使われることが多いです。最新の.NET 5以降のプラットフォームにも移植可能になりましたが、新規開発においては他の技術が優先されがちです。
2. WPF (Windows Presentation Foundation)
- 概要: 2006年に登場した技術で、XAMLを用いたリッチなUI開発が可能なフレームワークです。データバインディングやカスタマイズ性に優れています。
- 特徴:
- 視覚効果の優れたリッチなアプリを構築できます。
- UIとロジックを分離しやすいMVVM (Model-View-ViewModel) パターンをサポートします。
- ベクターグラフィックを使用し、解像度に依存しないUIが構築できます。
- 現状: WPFはデスクトップアプリ開発の主流として広く利用されてきましたが、最新技術への移行も進んでいます。Microsoftが提供する.NET 6/7で引き続きサポートされており、新規開発やモダナイズされたアプリケーションに利用されることもあります。
3. UWP (Universal Windows Platform)
- 概要: Windows 10以降のアプリ開発をターゲットにした技術で、Windowsストアアプリの開発やXAMLを用いたUI設計が特徴です。PC、タブレット、Xboxなど多様なデバイス間で動作するアプリを構築できます。
- 特徴:
- セキュリティ制限が厳しく、サンドボックス環境で動作します。
- Windows 10デバイスファミリのクロスデバイス対応が可能です。
- モダンなUIコンポーネントを簡単に利用できます。
- 現状: UWPはMicrosoftが一時期強く推進していましたが、最近は開発が減少傾向にあります。WinUI 3やMAUIといった新しいUIフレームワークの登場により、UWPからの移行が進むケースもあります。
4. WinUI (Windows UI Library)
- 概要: UWPの進化版とも言える最新のUIフレームワークで、モダンなデスクトップおよびUWPアプリの開発に適しています。
- 特徴:
- Windows 10および11のネイティブコントロールを利用可能で、最新のデザインと一貫性を持ったUIを構築できます。
- UWPアプリやデスクトップアプリ、さらには将来のWinAppSDKアプリ開発に使用されます。
- 現状: Windowsアプリ開発のモダナイズの一環として注目されています。WinUIは、最新のWindows 11環境を活かしたアプリ開発で採用が増えています。
5. .NET MAUI (Multi-platform App UI)
- 概要: .NET 6から登場したクロスプラットフォームフレームワークで、モバイル(iOS、Android)、デスクトップ(Windows、macOS)向けのアプリを一つのコードベースで構築できます。
- 特徴:
- UIとロジックのコードを共有でき、Xamarin.Formsの後継となる技術です。
- Windowsのデスクトップアプリをターゲットにする場合、WPFやWinFormsから.NET MAUIへの移行を考える開発者も増えています。
- 現状: クロスプラットフォーム対応が求められるプロジェクトで注目されています。特に、スマホ・デスクトップ両方で動作するアプリの需要がある場合に有用です。
まとめ
- レガシーアプリのメンテナンスや既存のWPFアプリ: WPFやWinFormsが引き続き使用されます。
- モダンなWindowsアプリ開発や最新技術への対応: WinUIや.NET MAUIが推奨されるケースが増えています。
- クロスプラットフォーム要件がある場合: .NET MAUIが有力な選択肢です。
技術選択はプロジェクトの要件や長期的な運用計画を踏まえて検討することが重要です。